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原子力情報宅配便“


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■原子力情報宅配便“CNIC EXPRESS”■
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=脱原発を実現する原子力資料情報室(CNIC)のメールマガジン=

No.0230 高浜発電所3、4号炉の新規制基準適合性審査書案に対する
パブリックコメント、他
【2014年12月26日】
原子力資料情報室(CNIC)Citizens' Nuclear Information Center

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(方法下記)

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◇今号の内容◇

[1] 2015年:20年目の 曲がり角を迎えて

[2]『原子力資料情報室通信』第487号(2014/12/26)もくじ

[3] 高浜発電所3、4号炉の新規制基準適合性審査書案に対するパブ
リックコメント

[4]2014年12月11日に開催した「原子力資料情報室 第86回公開研究会
 インドの原発事情を学ぶ会」の映像

[5]年末年始休暇期間のお知らせ

[6] 原子力資料情報室とは


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■[1]2015年:20年目の 曲がり角を迎えて
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 「原子力規制委員会と経済産業大臣が『廃炉か40年超運転か』の判断
を急ぐよう電力各社に求め、大きな曲がり角を迎えている」──と、あ
るところに書いた。「いや、そうだろうか。福島原発事故が起こった時、
これでもう日本の原発はすべて永久に止まると多くの人が思っただろう。
それからすれば、こんな曲がり角でよいのか」と。



 昨2014年12月6日、福井県敦賀市で開かれた「’14もんじゅを廃炉に
!全国集会」で、原子力発電に反対する福井県民会議の中嶌哲演さんは、
原子力発電を巡る時代の変化は、福島原発事故を待つまでもなく、1995
年に始まっていたと語った。曲がり角というか分かれ道というか、それ
は20年前にすでに見えていた。
 1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災は、原発に限らず、あらゆ
る「安全神話」を白日の下にさらけ出した。4月14日には電気事業法の
改正が成立し、卸発電と特定地域内の電力小売りが自由化されて、いわ
ゆる「電力自由化」の第一歩が踏み出された。7月11日、電気事業連合
会が、新型転換炉の実証炉をつくる計画の見直しを事業主体の国策会社
「電源開発」(のち完全民営化)や国に申し入れ、8月25日の原子力委
員会で建設は正式に中止された。電力業界が公然と国策に反旗を翻した
のは、初めてのことである。
 そして12月8日、高速増殖原型炉もんじゅでナトリウム噴出・火災事
故が発生する。事故を受けて翌1996年1月23日、福井・福島・新潟3県
の知事が、「今後の原子力政策の進め方について」の内閣総理大臣への
提言をとりまとめた。「陳情」でも「要請」でもなく「提言」は、まさ
に画期的なものだった。
 新潟県巻町(現・新潟市)議会では1995年6月26日、原発建設賛否の
住民投票条例案を可決、96年8月4日の投票実施(有効投票の61%、全
有権者の54%が反対)につながる。



 20年後の今年2015年こそ、原発廃止へのより大きな曲がり角であり、
廃止か延命・再推進かの、おそらく決定的な分かれ道である。
 川内原発に始まる再稼働は、何としても食い止めたい。止める力も残
っている。それでも力ずくで強行されてしまうかもしれない。しかしな
お「原発はほぼゼロ」の状況に変わりはなく、ここでがんばっただけ、
その後の動きに歯止めがかかる。そして、原発廃止への分かれ道を確か
なものにできる。

 2012年6月20日に原子力規制委員会設置法が成立、付則で原子炉等規
制法が改正されて、原発の運転期間は原則40年とされた。特別点検と経
年劣化評価を実施して保守・管理方針を策定し、1年3ヵ月~1年前に
委員会に認可を申請して、認可を得られれば1回だけ、最長20年の延長
ができる。ただし13年7月8日の施行時点で40年を超えているものがあ
り、超えていなくても審査中に超えてしまうものもありうる。
 敦賀1号、美浜1、2号は2013年7月8日には40年を超えていた。14
年末には島根1号、高浜1号も超えた。玄海1号、高浜2号は15年末ま
でに超えることになる。そんな7基については、施行3年後の16年7月
7日で40年と見なすこととされた。運転期間の延長を望む場合は、その
1年3ヵ月~1年前、すなわち15年4月から7月の間に原子力規制委員
会に延長認可の申請をしなくてはならない。
 延長認可とは別に、新規制基準にも適合していなければ、そもそも再
稼働することができない。老朽炉にとって許認可のハードルは高く、不
許可ならもちろん、2016年7月7日の時点でまだ審査中だった時には、
再稼働も40年超運転も、自動的に認められないことになる。遅くとも15
年早々には適合性審査の申請をしなくては間に合わない。原子力規制委
員会と経済産業大臣が求めたのは、そういうことだ。
 7基のうち高浜1、2号について関西電力は2014年12月1日、特別点
検に着手したと発表した。原子炉容器の中性子照射脆化や各機器の腐食、
コンクリート強度などを調べるものだ。特別点検着手は、40年超運転の
意思表示である。他の5基は廃止の見込みが高いので、高浜1、2号の
申請が無ければ「運転延長ゼロ」という実績がつくられてしまう。東京
電力没落後の電気事業者のリーダーとしては、何が何でも申請するしか
ないのだろう。
 老朽炉を新規制基準に適合させることが可能と判断しても、そのため
には大規模な改修が必要となり、多額の費用を要する。高浜1、2号以
外は出力が小さいことを考えると、延長期間のうちに投資の回収はとて
もおぼつかない。また、延長をすれば、事故=莫大な出費のリスクは高
まり、使用済み燃料や各種放射性廃棄物の後始末の費用が増える。電力
需要も低減しているし、それなら廃炉にと考えるのが自然だろう。
 とはいえ、その時には、損失を一気に計上しなければならない。「不
良債権」のツケが回ってくる。そこで2013年10月、会計ルールの原則を
あえて踏み外し、運転終了後も主要設備の減価償却や廃炉費用の積み立
てができるようにされた。それでも電力会社の側は、負担がなお大きい
としていっそうの対策を求め、総合資源エネルギー調査会電力・ガス事
業分科会電気料金審査専門小委員会の廃炉に係る会計制度検証ワーキン
ググループで再び検討されている。
 そうした対策によって原発の廃止が加速されるならと歓迎する考えも
あるが、それならば、早く廃炉にするほど優遇されるとか、同上分科会
の原子力小委員会への意見書で吉岡斉委員が提案するように「原発の全
廃へ舵を切る会社については、それを応援するための特別の支援を検討」
するとか、もっと効果的に廃止を促すしくみにすべきだろう。そうでな
いと、この対策は、目先の老朽炉のためだけでなく、新増設炉の投資額
回収を容易にする策ともなりうる。原子力小委員会では、何人もの委員
・専門委員から、老朽炉の廃炉と抱き合わせで新増設をと声高に語られ
ているのだ。
 原子力小委員会事務局の資源エネルギー庁の最大の狙いは、電力自由
化の進展下でも電力業界が原子力事業から逃げ出さないよう、福島原発
事故の「『事故前政策』よりもはるかに手厚い支援・優遇」(吉岡斉委
員意見書)を与えることである。廃炉会計の見直しは、その1つにすぎ
ない。文部科学、経済産業などの副大臣らにより、原子力損害賠償制度
の見直しも別途進められている。
 再稼働が、原発をいま動かすかどうかではなく、投下した資金を回収
できるまで原発を長く動かすことであるのと同様に、原子力小委員会で
の議論は、老朽原発の廃炉を奇貨とし、新増設によって一定規模の原発
を維持することを意味している。
 電力需要の動向を見ても、原発廃止は必然である。問題は、廃止か延
長かではなく、老朽原発の廃止を原発延命への隠れ蓑にするか全原発の
廃止に向けた第一歩とするかだ。私たちのなすべきことは自明だろう。

(西尾漠 原子力資料情報室共同代表)

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■[2]『原子力資料情報室通信』第487号(2015/1/1)もくじ
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会員の皆さまへの『通信』発送作業を12/25~26に行いました。

『原子力資料情報室通信』第487号(2015/1/1)もくじ

2015年:20年目の曲がり角を迎えて
[西尾漠]
http://www.cnic.jp/6197

電力システム改革と自然エネルギー本格的導入のための方策
[松原弘直]

モンゴルのウラン採掘政策の現状
[セレンゲ・ラグヴァジャヴ]

放射性廃棄物WG委員奮闘記(6)
議論再開、本質的な問題には目をつぶり、条件整備は進む
[伴英幸]

タニムラボレターNo.029
「不検出」をもう一度考えよう
[谷村暢子]
http://www.cnic.jp/6199

短信・資料紹介・原子力資料情報室だより


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■[3]高浜原発3、4号炉の新規制基準適合性審査書案
    に対するパブリックコメント
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 現在、高浜原発3、4号炉の新規制基準適合性審査書案に対する
パブリックコメントが行なわれています。
 1月上旬には当室の応募意見をウェブサイトにて公開する予定です
が、ぜひみなさまもご覧いただき、意見をお出しください。

・期間:2014年12月18日(木)から2015年1月16日

・関西電力株式会社高浜発電所3号炉及び4号炉の発電用原子炉
 設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的
 意見の募集について
 https://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu141218_01.html

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■[4]2014年12月11日に開催した
    「原子力資料情報室 第86回公開研究会
 インドの原発事情を学ぶ会」
    の映像
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2014年12月11日に開催した「原子力資料情報室 第86回公開研究会
インドの原発事情を学ぶ会」の映像を以下のアドレスで公開中です。
日印原子力協力協定の締結を阻止することの重要性が語られた、大変
有意義な講演でした。
ぜひごらんください。

http://www.cnic.jp/movies/6182

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■[5]年末年始休暇期間のお知らせ
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原子力資料情報室は冬期休暇のため、誠に勝手ながら、下記の期間、
オフィス業務をお休みさせて頂きます。

【休業期間】2014年12月27日~2015年1月4日

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■[6]原子力資料情報室とは
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【参加・支援をお願いいたします】
原子力資料情報室は、原子力に依存しない社会の実現をめざしてつ
くられた非営利の調査研究機関です。産業界とは独立した立場から、
原子力に関する各種資料の収集や調査研究などを行ない、それらを
市民活動に役立つように提供しています。

このメールマガジンをふくむ当室の活動は、毎年の総会で議決に加
わっていただく正会員の方々や、活動の支援をしてくださる賛助会
員の方々の会費・寄付などに支えられて私たちは活動しています。
ぜひ私たちと一緒に、原子力のない世界への取り組みの輪に加わっ
てください。
会員案内はこちらです。
http://www.cnic.jp/support

●CNIC(原子力資料情報室)公式Twitter
 http://twitter.com/CNICJapan
●CNIC Facebookページ
 http://www.facebook.com/CNICJapan

■原子力資料情報室・最近の書籍(ご注文は原子力資料情報室へ)

原子力資料情報室 編 西尾漠・文 今井明・写真
『日本の原子力60年 トピックス32』
  http://www.cnic.jp/books/5832
『はんげんぱつ新聞』編集部 編
『許すな!再稼働 そして原発廃止へ』
  http://www.cnic.jp/books/5476
西尾漠『歴史物語り 私の反原発切抜帖』
  http://www.cnic.jp/books/5454
原子力資料情報室『原子力市民年鑑2013』
  http://www.cnic.jp/books/5243
『はんげんぱつ新聞』編集部 編
『原発再稼働なんてできない! 溜まり続ける使用済み燃料』
  http://www.cnic.jp/books/5004
西尾漠『プロブレムQ&A─どうする?放射能ごみ〔増補改定新版〕』
  http://www.cnic.jp/books/4907
山口幸夫『ハンドブック 原発事故と放射能』
  http://www.cnic.jp/books/4822
原子力資料情報室『考えてみようよ原発のこと』
  http://www.cnic.jp/books/3322
原子力資料情報室『原子力市民年鑑2011-12』
  http://www.cnic.jp/books/3330
原子力資料情報室『地震大国に原発はごめんだ vol.3』
  http://www.cnic.jp/books/3340
原子力資料情報室『増補 原発は地震に耐えられるか』
  http://www.cnic.jp/books/3344
高木仁三郎、渡辺美紀子『新装版 食卓にあがった放射能』
  http://www.cnic.jp/books/3358
反原発出前のお店:編『新装版 反原発、出前します』
  http://www.cnic.jp/books/3368
高木仁三郎『新装版 チェルノブイリ原発事故』
  http://www.cnic.jp/books/3370

□ご注文はこちらから~CNICの本屋さん
http://cnic.cart.fc2.com/

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原子力情報宅配便“CNIC EXPRESS”No.0230
以上

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特定非営利活動法人 原子力資料情報室(CNIC)
Citizens' Nuclear Information Center
共同代表:山口幸夫・西尾漠・伴英幸
〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-5曙橋コーポ2階B
TEL.03-3357-3800 FAX.03-3357-3801

e-mail:cnic@nifty.com
URL:http://cnic.jp
開室:月~金/10:00~18:00
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2F-B Akebonobashi co-op 8-5, Sumiyoshi-cho,
Shinjuku-ku, Tokyo, 162-0065, Japan
phone 81-3-3357-3800, fax 81-3-3357-3801
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平和な有明海

Author:平和な有明海
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佐賀市在住です。平和や障がい者、有明海問題に強い関心を持っています。1950年生まれ。戦争法廃止、原発廃止、有明海再生、障害者と共生できる社会づくりを目指します。

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