諌早湾干拓事業の影響を認めたうえで、開門請求を棄却
「よみがえれ!有明訴訟」の諫早湾内漁民2、3陣の開門請求訴訟の控訴審判決が28日午後2時半、福岡高裁で言い渡されました。結果は控訴棄却でした。湾内2、3陣開門請求訴訟とは、長崎県の小長井、国見、瑞穂地区など諌早湾内に漁場を持つ漁業者らが原告となり、即時開門を求め、2010年3月に2陣、2011年3月に3陣が長崎地裁に提訴しました。一審では途中和解協議のための中断期間もありながら、2020年3月10日、請求棄却の不当判決が言い渡されました。原告漁業者らはその後一致団結して控訴し、福岡高裁で闘い続けていました。
開門請求は棄却されましたが、諫早湾干拓事業による「干潟の水質浄化等の機能の喪失に加え、潮受堤防の締切りによる潮流速の低下、成層化、貧酸素化の進行、赤潮の発生件数の増加、底質環境の悪化等の要因が複合して、諌早湾の漁場環境の悪化を招来した高度の蓋然性があると認めるのが相当であり、これにより、諌早湾におけるタイラギ漁業及び漁船漁業の漁獲量が減少し、かかる状態が将来にわたり継続することが具体的に予想され、控訴人らの組合員行使権が一部侵害されているというべきである」と、諌早湾干拓事業との関係を認めたうえ、初めてタイラギ漁業への影響も指摘し、漁獲量の減少を認めました。
しかし、事業が高い公共性、公益性を有し、湾内漁業補償契約で一部損失補填が図られ、事前対策工事をせずに開門した場合の影響、開門による干潟の再生効果は限定的との指摘があることなどを総合して利益衡量すると控訴人らの開門請求を棄却した原判決が相当であるとして、開門請求を退けました。
報告集会で弁護団は開門請求が退けられたのは残念だが、諫早湾干拓事業と有明海異変について関係が指摘されたことは話し合いの場を設ける弾みになると話しました。私たちも引き続き有明海再生に向け活動を強める必要があると思います。みなさん!がんばりましょう。