「開門請求を否定した不当判決に対する声明」
長崎県諫早市の国営諫早湾干拓事業をめぐり、湾内の漁業者が国に潮受け堤防排水門の開門を求めた2、3陣の控訴審判決が28日、福岡高裁でありました。開門請求は棄却されましたが、排水門の締切りによって潮流速の低下や赤潮の発生増加などの漁場環境を悪化させた可能性が高いとし、今回初めてタイラギの被害に言及したのをはじめ漁船漁業での漁獲の減少との因果関係を認めました。潮受け堤防締切りと漁業被害の因果関係を認めた司法判断は3例目です。
「よみがえれ!有明訴訟弁護団」は28日、「開門請求を否定した不当判決に対する声明」を出しました。声明は「潮受け堤防締切りと諌早湾内の漁業被害との因果関係が更に疑いのないものとなっていた」ことを本判決も認めざるを得なかったと指摘したうえで、「漁民らの被害が極めて深刻であること、既に開門による被害発生は防止できることが十分に証明されていることなどを無視」して、「公共性、公益性、開門による被害を総合考慮したとして開門請求を棄却した」ことは、「漁民らの請求を棄却する結論ありきの判断で、到底受け入れることはできない内容である」と厳しく批判しています。そして正当な判断を勝ち取るため、最高裁判所へ上告する方針を明らかにしています。
声明は最後に「国は、2010年の開門判決の勝訴漁民だけでなく、それ以外の多数の漁民が、この判決で認められたように潮受け堤防締切りによる漁業被害を受けていることを受け止め、全ての漁民の被害を回復するために尽力しなければならない立場にあることを認識しなければならない。我々としては、今後も国や関係自治体等と話し合いを続け、有明の再生に向けて尽力していくつもりである」と結んでいます。
有明海再生のためには国を中心に関係自治体や漁民、営農者、住民など関係者による話し合いで解決するしかありません。国の事業の失敗で問題が出ている以上、国が責任を持って解決するための話し合いの場を設ける必要があります。国はその努力をする責任があります。一日も早い有明海の再生のためにも。