海洋放出をめぐり、まるで戦前の大本営発表を思わせるような権力とマスコミが結託し黒を白に言い含める世界的な謀略を繰り広げています。
福島第一原発事故による汚染水の海洋放出をめぐり、まるで戦前の大本営発表を思わせるような権力とマスコミが結託し黒を白に言い含める世界的な謀略を繰り広げています。トリチウム以外の核物質を含む今回の海洋放出と通常の原発からの排水の違いをあいまいにし、良心的と思える報道でも核物質の放出は少量で影響がないと言う始末です。たとえ少量でも核物質の長期放出が世界の海を汚染し、植物連鎖などを通じ人類の破滅になりかねない問題だと思わないのが不思議です。北海道函館市議会が19日、海洋放出中止を求める意見書を可決しました。地方から声を挙げるしかないのでしょう。下記文章は私が佐賀新聞委投稿したものですが、いまのマスコミ状況では掲載見込みはない思い紹介します。
東京電力福島第一原発事故で発生した汚染水(アルプス処理水)の海洋放出が先月から始まった。汚染水は原子炉建屋に流れ込んだ地下水などが、事故で溶け落ちた核燃料に直接触れたものだ。そのため汚染水にはトリチウム以外のヨウ素129やストロンチウム90など、多くの放射性物質が含まれている。
政府や東京電力は、ALPS(多核種除去設備)でトリチウム以外の放射性物質を排出基準以下まで取り除き、トリチウムは人体への影響がほとんどないとして国内外の原発施設から海や川に既に流されていて安全だと説明している。
そうだろうか。通常の原発では核燃料に直接触る一次冷却水を冷やすための、核燃料に触れていない二次冷却水が流されている。海洋放出されているアルプス処理水は核燃料に直接触れた水だ。中性子などと反応して発生する通常原発のトリチウム水とは違い、多くの放射性物質が含まれている。トリチウムの人体への影響についても研究者間では意見が異なっている。
ALPSはトリチウム以外の放射性物質の62核種を取り除くという。しかし、東京電力は3月、処理水の7割近くにはトリチウム以外の60種類以上の排出基準を超える放射性物質が含まれていたと発表している。これはALPSがトリチウム以外の放射性物質を完全に取り除くことができないことを示している。再び再処理し、海水と混ぜて薄め、排出濃度基準以下にしても、トリチウム以外の放射性物質を含んだアルプス処理水が海洋に放出されることに間違いない。
海洋放出の際、トリチウムの数値は公表されているが、放射性物質の種類、数値はほとんど公表されていない。海洋放出は事故処理が終わるまで30年以上は続くとみられる。その間にどれだけの放射性物質が放出されるか分からない。このままだと海洋汚染が進み、植物連鎖を介して私たちの健康や生態系に悪影響を及ぼすのは確実だ。そうした事態は避けなければならない。そのためにも一刻も早く海洋放出を中止すべきだ。中止できれば、いま以上の風評被害も経済的被害も防げるのと思う。