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◇ 期待される中南米社会主義の未来 ◇

2013.07.02(20:37) 862


         ◇ 期待される中南米社会主義の未来 ◇
        
                           吉原 功

 5月下旬、南米ベネズエラを訪れた。チャベス大統領が3月に他界し、4月に後任
を決める選挙が行われたばかりの国だ。結果はチャベスが後継者として選んでいたマ
ドゥロ候補が勝利したが1・5%という僅差であった。そのため野党カプリレス候補
が集計のやり直しを要求、同候補支持派の抗議行動も激しく社会は混乱しているとい
う情報が日本のメディアで流され、治安が悪い国として細心の注意が必要とも忠告さ
れていた。

 ところがである。街に出てマンゴーがたわわに実る美しい街路樹に感心しながら、
それでもここは特別なのだろうと思いつつ地下鉄やバスに乗ってビックリ。構内も車
内も清潔、人々もさっぱりした服装で、なによりも明るい表情なのだ。子供たちの瞳
もきらきらと輝いていた。もっと驚いたのは、我々に席をゆずるために若者が必ず立
ち上がったことだ。メトロは外国人も含め60歳以上は無料だという。危険な気配な
ど微塵も感じられない。この印象はどこに行っても同じであった。

 むろん有名なバリオ=貧民街は、首都カラカスを囲む山々の中腹にびっしりとひし
めき合っていて、外部の人間が気軽に訪ねられるところでは相変わらずないらしい。
しかしチャベスの聖廟は両側にバリオが連なる坂道を上った丘の上にあった。貧困か
らの脱出を叫び続けた指導者にまことにふさわしい場所だ。日曜日の午前9時前に到
着したがもう長蛇の列。チャベスの話をしながら涙ぐんでいる人もいる。案内をして
くれたマリアの母親もその功績を夢中で話しながら途中で涙が止まらなくなった。彼
女は街頭でアイスクリーム売りをして生計を立てていたという。近くの建物屋上に、
志半ばでクーデターに倒れたチリ大統領アジェンデの名が大書されていた。

 チャベス政権は、教育改革に力をいれ、文盲の一掃、初等教育から大学教育までを
無料化した。マリアは28歳で大学に入学して行政学を学び、女性省の職員を経て今
はいくつかの地域社会の調整役として働いているという。この母子のようにここ数年
間で人間的な生活を獲得した人はどの位いるだろう。

 クーデターや米国寄り資本家のサボタージュを乗り越え、教育、農業、医療、食
 糧、住宅など数々の改革を推進し、同時に中南米諸国の連帯確立に貢献してきた同
 国の政策は、元地下鉄運転手、マドゥロ大統領に引きつがれた。長い年月「米国の
 裏庭」とされ、ずたずたに切り裂かれた社会を回復するのは容易ではないだろう
 が、ソ連型でも中国型でもない「中南米型社会主義」の実験はもっともっと注目さ
 れるべきだろう。人口3千万の社会で貧困層中心に30万人の青少年が無料でクラ
 シック音楽を学んでいるという文化芸術国家であることも驚異的だ。

                             (JCJ代表委員)

        *JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」(2013年6月25日号)より
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