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□■「ねじれ解消が最大の争点」の欺瞞

2013.07.17(18:56) 897


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      ┃Y・記・者・の・「・ニ・ュ・ー・ス・の・検・証・」┃
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□■「ねじれ解消が最大の争点」の欺瞞
  ──メディアは安倍政権のめくらましに騙されるな

 参院選公示以後、マスメディアはいっせいに自民の「圧倒的勝利」の予測を垂れ流
した。民意の形成を阻害し、政治的無関心を増大させる情報公害は、いま抜本から見
直すべきときであろう。

 選挙前の予測報道だから、この段階でも「4割が選挙区、比例とも投票先を決めて
おらず」状況は流動的などと報じている。特に今回も、マスメディアは自民対民主に
焦点を当て、与野党の攻防にばかり目を奪われる傾向が強かった。ひどかったのは、
衆参の「ねじれ」にだけ焦点を当てた報道の仕方だ。

 「衆参のねじれは、今度の参院選で解消できるのか」というテーマで選挙を追う姿
勢には、おのずと「ねじれはないほうがよい」というゆがんだ視点が紛れ込む。衆参
で主導権を握る勢力分布が異なるのは、民主政治の健全性をあらわすバロメーターの
ひとつでもある。ただ効率性のみを政治に求めて、「決められない政治」と揶揄する
傾向の強かったマスメディアは、その勢いに乗って政権に返り咲いた自民党を「よい
しょ」するかのように、「ねじれの解消」がそのままいいこと、今度の参院選の最大
の「争点」でもあるかのように、報じた。

 しかしながら、中盤以降、そもそも自民の勢いはさほどでもないことが隠しようが
なくなってくる。それでも各社の「選挙情勢」の報道では、政党名を自民、民主、維
新、公明、みんな程度しか出さずに報じる記事(二重の意味で予測報道の危険を増大
させる)や、あくまで自民の優勢を演出しバンドワゴン効果を引き出そうとする新聞
もある。

 読売新聞のきょう(17日)の記事は、<参院比例選、自民の第1党確実に…読売
新聞分析>とあり、見出しの「自民の第1党確実に」だけでも自民の勢いに伸びがな
いことがわかる。それにしても、まるで、競馬新聞のようだ。この記事を眺めただけ
では、投票先を決めていない人の比率もわからない。

 きのうのテレビ朝日の報道<安倍内閣支持率“5割切る”政権発足後初…>は、
「これまで6割前後をキープしてきた安倍内閣の支持率が、今回、46.4%と政権
発足以来、初めて5割を下回」ったこと、理由は「アベノミクスへの期待感に陰りが
出てきているため」(政権発足から半年以上がたったものの、景気回復への実感がな
い」と答えた人が7割以上)とみている。

 それでも安倍内閣の支持率は、46.4%(先月から10.1ポイント減)あると
いう。政党別では、<自民党が依然、高い支持率を維持し、民主党など野党を大きく
引き離し>ていること、今回の参議院選挙で有権者が重視する政策については、「景
気対策」が最も高く、次いで「年金・社会保障」、「原発問題」などだったという。
また、「原発の再稼働方針」については、支持しない人が支持する人を9ポイント上
回ったが、「原発をゼロにするか継続するかについては、ほぼ拮抗」としている。

 テレビ朝日の報道の詳細は、下記URLをクリックして、映像をみてほしい。
 各紙・各局とも、それぞれの調査シートのフォームの問題や、調査の実態、調査結
果に加味して分析する種々の情報にも差異がある。

 マスメディアの垂れ流す「選挙予測報道」の類に、一喜一憂しないこと、振り回さ
れない市民社会を構築してゆくことが、まるで競馬か競艇などレース中継と見まがう
「選挙予測報道」からマスメディアを脱皮させていくためにも必要だろう。

 そうした上っ面の「選挙予測報道」ではなく、地道に今回の選挙の重要テーマを追
っている新聞などもある。ネット上では、中身のある記事を紹介し合う動きも高まっ
ているようだ。ネットをただ政党の宣伝ツールにしようと意気込む人々もいるが、そ
れだけでは読んでくれる人は少ないまま終わる。フェイスブック上で、自分のところ
の党員に、「他党の宣伝を流すな」と強圧している輩もいる。恥ずかしいことであ
る。ネットワーク社会を少しも理解していないのである。

 原発・米軍基地、大量失業・消費税・TPP、そして憲法。
 私たちは、これらの重大問題に直面している。
 東京新聞によると、ツイッターでは、原発、経済、外交・安全保障、TPP、憲
法、社会保障、東日本大震災・復興の順で関心が高い。首相の安倍氏は、選挙活動を
通じて、これらの重大問題から逃げ回ってばかりいた。マスメディアでは、各紙・各
局、それぞれに濃淡があるが、参院選がらみの報道はレース中継が主軸で、いま取材
し広く共有すべき争点を、自ら浮き彫りにしてゆく試みは、一部を除き弱いという印
象を否めない。

 記者によるのか、デスクによるのか、それとも各社の方針によるのか。

 それでも、選挙は政治家のためにやるのではないことを、忘れるわけにはいかな
い。選挙民が、国民社会、国民生活のために、公権力をゆだねる人物を選択するため
にやるのである。どうも、とくに自民党の政治家たちは、その「立憲主義」そのもの
を理解していない疑いが濃厚である。そしてマスメディアはどうか。マスメディアも
同様に、政権党に引きずられ、政局に引きずられ、目先の出来事引きずられ、あるい
は広告主などに引きずられて、国民が公権力をゆだねる人物を選択するために必要な
報道や論評を行うという本道を見失ってはいないだろうか。

 いかにネット社会が高度化しようが、ジャーナリズム機能を弱体化させた社会は脆
い。民主主義社会そのものが危機へと陥ってゆく。企業としてのマスメディアが、重
大な分岐点にいることはそのとおりだが、報道や論評機能の低下は、その危機に拍車
をかけるだけである。一部には、もはやすでに新聞というより、自民党の機関紙だっ
たり宣伝紙だったりとしか思えないところもあるが、そのままで済まされるような甘
い時代とはいいがたい。

 ジャーナリズム学者の新井直之氏は、「いまジャーナリストがしなければならない
のは、時代の正体を的確に摘出し、日本はどのような方向に進みつつあるのか、を正
しく民衆に提示することである。大きな社会の流れ、大状況を具体的に、率直に示す
ことである」(『ジャーナリズム』(東洋経済新報社、1979年、p217)と提
起している。

 そして、「政府権力やジャーナリズム経営者やジャーナリストたちは、あくまでも
多量に、多様に、正確なる事実を民衆に伝えるべき義務を有する。その義務が怠られ
ているところに、今日の問題の一つはあるのである」(同、p209)とも。

 さらに、<報道について判定するとき、「どのように報道されたか」という基準よ
りも、「なにが報道されていないか」という基準のほうがはるかに大事である>
(同、p184)との指摘もある。この点は、いまや広く常識と化しつつあるように
思うが、この傾向に気づかず、そのままメディア企業内に定着してしまえば、<自主
規制は、マス・メディアの外からの権力・財力・暴力など、なんらかの「力」に屈し
たことによって起きる。…呼応者が上級管理者であればあるほど、規制は強まり、言
論・表現は容易に改変され、企業内における言論・思想の自由もまた認められなくな
る>ということへと結びついてゆく。(同、p144)

 行き着く先は、ジャーナリズムの役割を喪失した、ただマスメディアである。それ
を長く続けられるかどうかは、事業の多角化など経営基盤と、読者の質、社会の質し
だいということになってくるのだろう。プロパガンダだけを好んで読んだり、接する
ことを新聞に求める人は、やはり限られてくるに違いない。報道や論評に求められる
要素を欠いたマスメディアとは何なのか。もし通信社などの力を欠けば、高度情報社
会における情報紙誌の部類にはあっても、それ以外の何かとはいえなくなってくるの
ではないか──。心配である。

 産経新聞が16日、<安倍首相、ついに“封印”解く 9条改正を明言>を出し、
<安倍晋三首相(自民党総裁)が15日、ついに“封印”を解いた>と嬌声をあげん
ばかりに、安倍氏の「われわれは9条を改正し、その(自衛隊)存在と役割を明記し
ていく。これがむしろ正しい姿だろう」という発言を報じた。

 遊説先で長崎国際テレビ番組のインタビュー(12日収録、15日放送)に応じた
ものだが、同紙は<憲法9条改正の必要性を明言した。これまでの選挙戦でも憲法改
正の発議要件を緩和する96条改正に意欲を示してきたが、いよいよ“改憲の本丸”
に攻め込んだ格好だ>と書いている。まったくおかしな新聞だとあらためて思う。

 96条の改定については、日本国憲法に忠誠を誓って政権を担っているはずのもの
たちが、まるで試合の途中でルールの変更を言い出すのだから、これほどおかしなこ
とはないはずなのに、この新聞は「歓喜、乱舞」の反応なのだ。いったいどこの国の
新聞なのかと疑いたくなる。

 そのうえ、首相の安倍氏が9条の改定に言及したとして「いよいよ“改憲の本丸”
に攻め込んだ格好だ」と書くわけだから、何をかいわんやである。記事によると、首
相側近からは最近、「もう少し候補者を出せばよかった…」という声が聞かれるそう
だ。

 これによると、上記で紹介した読売新聞が、自民党が「2010年参院選の12議
席を大幅に上回って比例選第1党となるのは確実だ。ただ、支持はわずかに下がって
頭打ちとなっている」と書いているのとは、トーンが違う。読売が自民の陣営の緩み
をしめ、産経がちょうちんもちの構図か。いや、そういう連係プレーの跡は見えな
い。

 ただ産経新聞の記事で、頭のすみにメモっておきたいことが二つ。「首相の危機
感」の話。

<憲法改正に慎重な公明党を除くと、今回の参院選で101議席を得なければならな
い。改憲に前向きな新党改革などの非改選2議席を加えても99議席と、ハードルは
高い。今回の世論調査によると、自民党は69議席を獲得するものの、憲法改正で選
挙後の連携を想定していたみんなの党と日本維新の会は各7議席にとどまる見通し
だ。3党では計83議席となり、101議席に遠く及ばない>

 そこで、「民主党は潰れる運命にある。党を飛び出す改憲派との連携が憲法改正を
実現する上でカギを握る」(安倍氏の4日の産経新聞のインタビュー)として、民主
党改憲派の自民への結集を呼びかけている。

 民主党は、自民党を政権から引き摺り下ろすために結集した選挙民の力を甘く見、
次第に忘れ、政権という舞台を自らの自己満足のために踊り、拍手など得られる玉で
はないことをさらけ出した。そこでさらに狼狽し、仲間割れを始め、自ら失速した。

 政党やマスメディアが考えるより、はるかに選挙民の眼は厳しい。
 かろうじて政権に復帰した自民党も、マスメディアを総動員しなければ、延命でき
ないほど自らの足元が脆弱であることを、わかっているはずだ。マスメディアを総動
員しようとしたところで、それでは容易に民意をコントロールすることなどできな
い。そのこともわかっている人物は、自民党のなかに何人残っているのか。

 自民党は綱渡りで政権復帰を果たし、綱渡りのまま政権についている。繰り出す愚
かな復古改憲国家主義の「冒険」が、どこまで通用するか。そんなものが、政権の求
心力を生み出す力として働くことはない。

 その裏にある対米従属の卑屈、多国籍企業へのもみ手は、徐々に見破られつつあ
る。
 
 それにしても、首相の安倍氏が96の改定を言い出し、そして9条の改定を口に出
したというだけで、こうまで踊ってみせる新聞(宣伝紙)があるということには、ま
ったくあきれるばかりである。

 16日には、自民党の石破茂幹事長が、4月に出演したテレビ番組で、同党のかか
げる改憲草案で自衛隊を「国防軍」にするとしている件に関連して、現行憲法では禁
じられている軍法会議(軍事法廷)の設置、国防軍に「審判所」という軍事法廷を設
置することに強い意気込みを見せたことを、東京新聞が伝え、再度大きな問題になっ
ている。

 前述した新井直之氏は、同著で、こうも指摘している。

──ファシズムは……まるでガンのように、まったく知らぬ間に社会のあちこちにひ
っそりと忍び込んでおり、あるときふっと痛みに気がついてみたら、どこもかしこも
がっちりと病巣になっていて、もはや手遅れだった、というようなものではないだろ
うか──と。(同、p214)

 メディアの衰退は、民主主義の衰退を招き、社会全体の衰退をも招きかねない。い
ま、この、さまざまな意味で危機を迎えている時代、日本社会は総体から見直され、
変革を遂げねばならない。しかしながら、権力に安住し、無為無策のまま、そうした
状況へと時代を放置、誘ってきた自民党の責任は重い。彼らにその変革の担い手を任
せることはできないし、また、政権復帰前、復帰後の状態を見ている限り、やはり、
彼らには荷が重過ぎることは明白である。

 選挙民のなかには、一度政権を追われ、そして再度復帰した自民党に、なんらかの
魅力と期待とを抱いて、自らをゆだねようとする人々もいるに違いない。しかしなが
ら、いまの安倍政権をみればわかるように、政権維持に自信がもてず、いつまた引き
摺り下ろされるか戦々恐々としながら、後代に膨大なツケを残すアベノミクスで人心
を引き寄せ、その結果が出ないうちに、この参院選で時代錯誤もはなはだしい「改
憲(壊憲)」路線へと日本社会を引きずり込むルール違反のやり方で、なんとか政権
の延命をはかろうとだけしている。

 二度と政権を追われるような目にあいたくないがゆえなのだろうが、自民党のあの
「改憲草案」なるものを見る限り、時代遅れもはなはだしい。どこかの強国の属国へ
と自ら進んで売国を進め、さらなる亡国路線をつき進むことは明白である。

 この段階で<9条改正を明言>(産経新聞)したのも、陣営の引き締めをはかる必
要が高まったから、とみておくほうが正確ではなかろうか。昨年の総選挙の折、長年
の野党生活に危機を迎えていた自民党は、12月15日、安倍氏と麻生氏は、日章旗
をかかげた集団の前で演説をするという演出をしてみせた。結果はかろうじて政権復
帰となったが、けっして磐石ではない。

 産経新聞が賛美の記事を書いた<9条改正を明言>は、その後ろ向きの「改憲(壊
憲)」パワーになんとかもう一度あやかろうとしての儀式のようなものではないか、
と思えてならない。日本社会では信教の自由は保障されているが、それとも異なる種
々の事情をかかえながら、首相の安倍氏はなんとか踏みとどまりながら、小さなパン
チを繰り出して見せているというところなのではないか。

 原発再稼働、米軍基地問題、大量失業問題、消費税の問題、TPPへの参加問題、
そして日本国憲法。いずれも、安易な対応は許されない重大問題である。安倍政権に
これらの問題を解決したり着地させたりする能力はない。だから、民意とは逆の方向
へとどんどんずれていくだけなのである。アベノミクスは、目くらましでしかない。
そのようなものにだまされることなく、この政権には勢いも、求心力も、問題解決
能力も存在しない、と私は思っている。

参院比例選、自民の第1党確実に…読売新聞分析(読売新聞17日)
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2013/news2/20130717-OYT1T00249.htm?from=main1
安倍内閣支持率“5割切る”政権発足後初…(テレビ朝日16日)
http://news.tv-asahi.co.jp/sphone/news_politics/articles/000008811.html
安倍首相、ついに“封印”解く 9条改正を明言(産経新聞16日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130716-00000073-san-pol
平和憲法に真っ向背反 石破幹事長の「軍法会議設置」発言(東京新聞16日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013071602000128.html
新井直之BOT
https://twitter.com/arainaoyukibot

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