修の呟き

古賀茂明「安倍政権は『日本中に核シェルター構想』とカジノで規制改革???」〈dot.〉

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170806-00000022-sasahi-pol&p=4

古賀茂明「安倍政権は『日本中に核シェルター構想』とカジノで規制改革???」〈dot.〉
8/7(月) 7:00配信

 国家戦略特区を推進するある有識者(A氏としておこう)から私のスマホにショートメールが入った。加計学園問題が燃え盛り、安倍内閣の支持率が急落するさなかの7月18日のことだ。

 このコラムの読者はご存じのとおり、私はその前日の17日付で、本コラムに「加計学園選定に『一点の曇りもない』という民間有識者のしたたかさ」というタイトルで国家戦略特区の有識者と安倍政権の関係について記事を書いた。どうやら、その記事が、この連絡のきっかけになったようだ。

 7月28日夜、赤坂の居酒屋でA氏と会って、いろいろと話を聞いた。

 A氏はもちろんバリバリの規制改革派である。彼は、加計学園の獣医学部新設を認める規制緩和を進めた手続きには一点の曇りもないことを強調した。しばらく加計学園問題について議論をした後、私は、安倍政権の改革への姿勢について、日ごろ考えていることをA氏にぶつけてみた。すると次のような答えが返ってきた。

「安倍首相自身は、改革派でも何でもないことは百も承知だ」

「安倍首相にとっては、憲法改正や集団的自衛権行使などの安全保障問題が最優先なのだが、支持率を維持するためにイメージ戦略として改革派を演じている」

「安倍首相はこれまで大きな改革は行っていないし、A氏ら真の改革派がやりたいことはほとんどできていない」

「ただし、支持率が急落したので、安倍政権としては、これまでよりは真剣に改革を進めざるを得ないところに追い込まれている」

「今後は、その機運を逃さず、安倍政権に、大きな改革に挑戦させるような世論づくりをすることが重要なので協力してほしい……」

 概略そんな話だった。

 安倍政権のブレインでも、さすがに安倍首相が「改革派」だとはみていないということだ。それとともに、彼は、日本のメディアが、規制改革についてほとんど理解する能力を持たず、また、日本経済に対する危機感がほとんどないことを嘆いていた。こうした見方は、基本的に私も同意できるところだ。

●行政改革担当相を知っている人はいますか?

 8月3日、安倍首相が支持率回復のために行った内閣改造では、苦しくなった時の決まり文句「経済最優先」の呪文がまたも唱えられた。しかし、この布陣では多くは期待できない。とりわけ、「規制改革」や「行政改革」が進む可能性はほとんどないというのが率直な感想だ。

 安倍首相が「改革派でも何でもない」というA氏の言葉を裏付けるのは簡単だ。

 まず、「今、行政改革担当大臣は誰か」と聞かれて答えられる人がいるかどうかを見てみればよい。

 例えば、第1次安倍内閣では、渡辺喜美行革担当相が行革や公務員改革で大活躍した。民主党政権でも、仙谷由人行政刷新担当相、蓮舫事業行政刷新担当相が脚光を浴びた。

 ところが、第2次安倍政権の行革担当相は、河野太郎氏が就任した時を除いて、誰がやっているのか記者に聞いてもわからないという状況だ。もはや「行政改革」は死語になった感すらある。

 今回の改造でも、行革担当相は梶山弘志地方創生担当相が兼務することになったが、それを知っている有権者はどれだけいるだろうか。梶山氏と言えば、梶山静六元官房長官の長男で、「改革派」とは対極の古い自民党型の政治家だ。従来通りの分担なら、国家戦略特区もこの人が担うことになるから、「改革」の機運はむしろしぼんでしまいかねない人事である。

 今回の改造でのミニサプライズとなった河野太郎外相も、本来は行革や規制改革、あるいは公務員改革などを担当させれば、まだ少しは「改革」が進む可能性もあったが、外相であるから、そういう役割は期待できない。単に中国や韓国対策で、父親の河野洋平氏の平和ブランドを利用しようという姑息な考えしか見えない。

 さらに、6月19日付本コラム「安倍首相に見捨てられた塩崎厚労相の最後の頼みは小池旋風」で、受動喫煙対策の関係で、厚労相人事に要注目と書いたが、禁煙改革積極派の塩崎恭久厚労相が退任し、加藤勝信前1億総活躍担当相が後任になったことで、禁煙改革にも期待できそうもない。加藤氏は大蔵官僚OBでJTなどのたばこ利権と闘うことは難しいからだ。

●官僚に媚びるための貢ぎ物

 今回の改造で注目すべきこととして、3人の官房副長官人事と併せて行われた事務分担の変更がある。官邸による官僚支配を支える仕組みとして悪名高き「内閣人事局」のトップが、萩生田光一前官房副長官(衆議院議員)から官僚出身の杉田和博官房副長官(留任)に代わったことである。

 官房副長官は、3人いるが、そのうち、衆議院と参議院から1人ずつ、残りの1人を官僚出身者で埋めることになっている。杉田氏は警察官僚出身で、警察はもちろん、財務省をはじめ各省とのパイプは太い。

 実は、私が、内閣審議官として2009年に国家公務員法の改正案を作っていた時に、大きな争点になったのが、この内閣人事局長に官僚と政治家どちらの副長官を充てるかということだった。財務省を筆頭に霞が関の官僚たちは、当然、官僚の天下り利権と文化を理解してくれる官僚OBの副長官にすることが必須だとして政界への根回しを猛然と行った。

 安倍政権でようやく日の目を見た内閣人事局では、官僚に睨みをきかせるために、政治家の官房副長官が局長に就くことになり、改造前まで、萩生田前官房副長官がこれを務めていた。この形は、政治が官僚の上に立つことを意味しており、官僚たちにとっては、安倍政権による「政治主導」のシンボルと捉えられていた。


 今回このポストを事務の副長官に与えることは、官僚たちに対して、「君たちの人事への介入は控えるから、僕たちの利権政治にも協力してね」と媚びるメッセージを出したことになる。もちろん、杉田氏は安倍首相の信頼が厚く、官僚の言いなりになることはないだろうが、過去、政官で壮絶なバトルの対象になった重要ポストを貢ぎ物として官僚側に差し出す意味は極めて大きい。

 こうした姿勢からも、安倍政権が官僚や族議員の反逆を恐れずに改革を進める姿勢をとれないということがよくわかる。最初から気合負けしていると見られても仕方ないだろう。

●二階幹事長の悪ノリ「日本中に核シェルター構想」

 結局、改革できない安倍政権の「経済最優先」政策は、これまでの日銀の「円のバラマキ」と「公共事業のバラマキ」の「二つのバラマキ」に頼る旧態依然の利権政治となる可能性が高い。

 内閣改造が行われたのが8月3日。8月上旬と言えば、各省が来年度予算案を事実上決定するタイミングである。計数整理や印刷などの事務作業を経て8月末に財務省に予算案の書類を提出するためには、お盆前までにすべてを決定しておく必要がある。この時期に改造を行って新任大臣が着任しても、春から積み上げてきた政策と予算の議論をひっくり返すのは事実上不可能。結局は官僚と族議員が結託してできた予算案にサインするだけに終わる。

 最近の族議員の動きでは、例えば、農水族が、EUとのEPA(経済連携協定。ワインやチーズの関税引き下げなどで日本の農家に影響が及ぶとされる)交渉の大枠合意と同時に農水族議員が、EPA対策と称して、「補正予算が必要」とぶち上げたばかりだ。しかし、よく考えると、TPP交渉妥結を受けて、TPP対策予算を15年度と16年度の2年にわたり、合計6000億円以上計上したばかりで、そのTPPは米国の脱退で実施される見込みがない。それでも、一度ついた予算は使うというのが安倍政権の方針で、その旨の閣議決定(質問主意書への答弁)までしている。

 今回も、衆議院選挙が近いので、おそらくEUとのEPA対策でほとんど意味のないバラマキ農業予算がつくのは確実だ。

 もう一つ驚いたのは、北朝鮮のミサイル発射を口実にした全国への公共事業のバラマキ構想だ。ミサイル対策で防衛費拡大というならわかりやすいのだが、公共事業にこれを利用するというから開いた口が塞がらない。

 それは何かといえば、「核シェルター建設」である。6月に自民党が提言していたが、7月29日に二階俊博幹事長が改めてその実現を目指す考えを表明した。日本中に核シェルターを作るとなれば、いくらお金があっても足りないと心配になるが、二階氏は、「財政がどうだこうだと言っている時ではない。普通の予算や普通の年次計画などではなく、頭をフル回転して対応しなければいけない」と述べたそうだ(朝日新聞デジタル)。国民の命は金では買えないと言えば、いくらでも予算をとれるという計算だろう。悪ノリも甚だしいではないか。


政権浮揚の3本の矢は「原発」「武器」「カジノ」

 以上のとおり、本予算も補正予算もバラマキのオンパレードになることは必至。結局、黒田日銀総裁の円のバラマキで円安を維持し、日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による株式購入で株価を支える第1の矢「異次元の金融緩和」と上述した予算(公共事業)バラマキという第2の矢「機動的財政運営」だけがアベノミクスの実態である状況は不変ということだろう。

 そんな中で、安倍政権が成長戦略として期待するのが、「原発」「武器」「カジノ」という3本の矢だ。

 原発については、先進国で唯一「原発は安い」という神話を維持する安倍政権は、その推進の中心的役割を担う世耕弘成経産相を留任させた。東芝の米子会社ウェスチングハウス社の経営破たんにより、コスト増から採算が取れないとの理由で米電力会社が2基の原発建設を断念したと伝えられる中、今もなお神話にすがり付く世耕氏は、安倍政権の「守旧性」の象徴となりつつある。それでも、原発再稼働を進め、核燃料サイクルを死守し、すきを見て原発「新増設」を明文化するチャンスをうかがう。最近の世耕経産相には、ぴったりの役どころということだろうか。

 武器輸出も大型商談は失敗続きだが、安倍政権に諦める兆しは微塵も見られない。素材や部品などでは汎用品で武器製造に貢献できる企業はたくさんあるが、安倍政権は、潜水艦、戦車、飛行機など、「目に見える」大型兵器の輸出に熱心なようだ。おかしな国威発揚の姿勢は国の行く末を過つ転換点に来ている。

 武器輸出だけではなく、米国からはこれまでのF35やオスプレイなどにとどまらず、THAAD(高高度迎撃ミサイル)などのミサイル迎撃関連の装備をはじめ、巨額の商談につながる提言(自民党安全保障調査会)が出されている。同提言には、敵基地攻撃能力を備えよとか自主防衛能力を高めよとも書かれており、米国からの武器輸入だけでなく日本企業による大型武器開発など、国内武器産業の利権拡大の動きも活発だ。

 こうした防衛利権の拡大には、小野寺五典防衛相が当たる。小野寺氏は、一見ひ弱で優しそうな印象を与えるので、安倍政権の強面防衛政策のイメージ転換の役割を期待されているが、実際には、上述の自民党安保調査会の提言のとりまとめに大きな役割を果たすなど、完全な防衛族議員である。18年には防衛大綱見直しもあり、さらなる利権拡大にひた走るのは確実だ。



●秋の臨時国会は最大のテーマはカジノ

 そして、今、最も期待されているのが「カジノ」である。森友、加計、PKO日報などのスキャンダルの陰に隠れて、人知れず準備が進められ、8月1日には「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ~『観光先進国』の実現に向けて~」という報告書が特定複合観光施設区域整備推進本部に提出されている。特定複合観光施設区域整備推進会議とは、要するにカジノ推進のための有識者会議だ。

 カジノについては6月の本コラム「小池百合子氏が東京都議選の争点からカジノを消したワケ」に書いた通り、一言で言えば、今世紀最大の新利権創出というのが、その政治的な意味合いである。今後これだけおいしい利権が誕生することはまずないだろう。

 報告書の中で、「世界最高水準の規制」と銘打った部分では、これでもかというほどの規制が列挙されている。規制がたくさんあるというと、「そんなに厳しいのか。それなら安全だ」となりそうだが、実はそうではない。規制が多ければ多いほど、官僚と族議員の暗躍する機会が増えて、利権が増えるのである。もちろん、国民を守るための規制ではなく、カジノ業者を儲けさせ、彼らから上前を撥ねるための規制なのだ。

 そもそも、そんなに厳しくするというなら、最初からカジノなど作らなければいいのだが、そうはならない。カジノなどなくてもものすごい勢いで外国人観光客が増えている。その多くは日本の自然、歴史、伝統文化、食、ファッションなどに魅せられて訪日するのだが、そういう人たちが、カジノを欲しているかというと、そんなことはない。むしろ、そういうニーズと比べるとカジノは対極にあると思われる。カジノなどなくても、この先、どんどん観光客を増やすことは可能だ。

 それにもかかわらず、カジノを推進するのは、利権を作るためにどうしても必要だからだ。そして、カジノを実施するためには、「カジノ実施法」が必要だ。この法律でいわゆる統合型リゾート全体を所管することになると予想されるのが、公明党の石井啓一国交相である。おいしい利権を公明党にしっかり分配することで、カジノ消極派が多い同党にアメを与える作戦だ。

 安倍政権のアジェンダには、今のところ、冒頭の有識者A氏が期待するような「改革」の目玉はない。気づいてみれば、秋の臨時国会は「カジノ国会」……。
という状況になるのは確実と言っても良いだろう。

 そうなれば、安倍政権の成長戦略には、「原発」「武器」そして今回登場した「カジノ」の3本の矢しかないということがはっきりする。そんな「経済最優先」政策を有権者がどう見るのか。安倍政権の支持率回復の道はかなり険しいと見た方がいいだろう。(文/古賀茂明)
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  1. 2017/08/08(火) 16:12:46|
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佐賀市在住です。平和や障がい者、有明海問題に強い関心を持っています。1950年生まれ。戦争法廃止、原発廃止、有明海再生、障害者と共生できる社会づくりを目指します。

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